【避けるべき】入居者が退去する際にトラブルにならないための基本知識
入居者の退去トラブルに悩まされている人「入居者の退去トラブルにまきこまれて困っているけど、どうしたらいいんだろう。。?何かいい解決方法がないかなあ。。」
こんにちは。おじおじです。
入居者は皆それぞれのライフサイクルの中で契約更新を重ねていき、様々な事情によって物件を退去していきます。
退去は入居者の卒業ということもできますが、実はこのタイミングでトラブルが発生するケースがあります。
退去をめぐって入居者とトラブルにならないための基本知識を以下にまとめました。
本記事の内容
- 意外に多い、退去時の敷金精算トラブル
- 借主が物件に対して負う義務
- なぜ敷金の精算がトラブルになるのか
- 敷金の精算トラブルを防ぐために
意外に多い、入居者との退去時の敷金精算トラブル
不動産のオーナーと入居者の間で発生するトラブルは色々あります。
大半は設備の不具合や入居者間の人間関係に関するものなど入居中のトラブルですが、退去時にトラブルとなるケースも意外に多く発生しています。
それはズバリ、敷金の精算に関するトラブルです。
敷金は不動産の賃貸借契約を結ぶ際に設定される初期費用のひとつで、物件に入居する借主が貸主に対して支払う一時金です。
保証金と呼ばれることもある敷金は借主が負う賃料支払義務の担保のようなもので、借主が入居後に問題を起こした場合に貸主が被る損害を補うための保険のような意味合いを持っています。
つまり何かあったときのために預かっておき、問題なく契約が終了した場合には借主へ返還されるお金です。
同じく初期費用のひとつである礼金は単純に借主が貸主に対して支払うお礼のお金で敷金とは意味合いが異なり、退去時に返還はされません。
契約によって変わる敷金の有無
敷金の有無は契約によっても異なりますが、主な形は次のいずれかです。
- 敷金を取っている
- 敷金を取っていない
- 敷金を取っていないが別途クリーニング代などを取っている
入居中にリフォームなどを行う場合には、その費用に敷金を充てるケースがあります。
敷金を取っていないケースではリフォーム代をあらためて請求することになり入居者にとっても負担となるため、あらかじめクリーニング代などの名目で設定されることもあります。
管理会社としても敷金は取っておきたいのが本音ですが、最近は敷金をゼロして初期費用の負担を減らすことで入居者を募る形の営業も一般的になっています。
入居者が物件に対して負う義務【退去トラブルにおいて知るべき】
借主である入居者は、物件の退去に関係する次の2つの義務を負っています。
- 返還義務
- 原状回復義務
返還義務
借りた部屋を返すという基本的な義務です。
借主は水道や電気、ガスといった公共料金の解約を行い、部屋の中に家具や装飾品などが何もないまっさらの状態にして返還しなくてはなりません。
返還義務は基本的には引っ越しに伴って自然と果たされるものであるため、ここが問題になることはあまりありません。
原状回復義務
借主が入居していなかったと仮定した場合に本来部屋があるべき状態に回復させる義務です。
入居前の状態ではなく、入居していなかった場合に退去時点であるべき状態というのがポイントです。
つまり部屋を利用していなくても進んでいたであろう経年劣化は回復義務の範囲にありません。
これは物件の資産価値が時間の経過とともに減少していくものであるという考え方に基づいた取り決めです。
借主が生活していくうえで自然と付く微細な傷や家具の設置跡、日焼けによる壁紙の変色などは通常損耗として同様に原状回復義務の範囲に含まれません。
しかし誤って割ってしまったガラスや度重なる喫煙によって付着した天井や壁のヤニ汚れなど、借主の明らかな過失によって発生したダメージは特別損耗として借主の責任において原状回復させなければなりません。
なぜ敷金の精算が入居者との退去トラブルになるのか
原状回復義務については入居時の契約において当然説明を行うべきものであり、実際そのように運用されていると思います。
しかしながら通常損耗と特別損耗の線引きを明確に定義することは難しく、ケースバイケースで判断せざるを得ません。
基本的に原状回復工事の費用は通常損耗の範囲は貸主負担、特別損耗の範囲は借主負担となります。
退去の際には借主と不動産会社や管理会社の担当者立ち合いのもと現況確認を行い原状回復工事の範囲などについて協議しますが、その範囲の線引きがしばしば不明瞭で双方の言い分が衝突する場合があります。
先述した敷金の返還金額は借主負担となる原状回復費用を差し引いた額となるのが一般的なので、借主としては自らの責任とされる特別損耗の割合が少ないほどいいわけです。
入居中にトラブルを起こした経歴が多い人ほど退去時にも揉める可能性が高くなりますが、特にそういったトラブルがない場合でも敷金の精算トラブルは起こり得ます。
厳密にいうと原状回復とリフォームは別ですが、場合によっては原状回復工事と称して大幅なリフォームを行って借主に必要以上の金額を請求しているケースもあります。
入居者との退去時の敷金の精算トラブルを防ぐために
退去時の敷金精算トラブルを防ぐためには貸主と借主それぞれの負担となる範囲を明確に分ける必要があります。
主なポイントは次の3点です。
- 入退去時チェックリストを利用する
- 部屋の状態を写真で記録する
- 借主負担となる費用について十分な説明を行う
入退去時チェックリストを利用する
物件の各箇所の状態ごとに損耗の有無や具体的な状況などを記しておくための資料が入退去時チェックリストです。
このチェックリストを使用することで入居時と退去時で状況がどう変わったかを容易に把握できます。
レンタカーの利用前後で傷の有無などを確認するのと同じですが、不動産の場合は利用が数年や10数年という長期にわたることが普通であるため、より詳細な記録を残しておかなければ比較確認が行えません。
入退去時ともに部屋は必ず家具などを設置していないまっさらな状態で行いましょう。
傷や汚れだけでなく、水漏れや詰まりがないかなど設備面の状況もチェックしておく必要があります。
これらの確認は国土交通省が公表している原状回復をめぐるトラブルとガイドラインにおいても推奨されています。
同ガイドラインには入退去時の物件状況及び原状回復確認リストの例も記されてあるため、作成の参考にすることをおすすめします。
貸主と借主、管理会社の三者が確認を行い署名捺印しておくことで、後の確認に活用できる有効な資料となります。
リフォーム業者はあくまでも工事の実作業を行う存在であるため、チェック時には必ずしも必要ではありません。
部屋の状態を写真で記録する
現況確認の一環として、チェックリストとは別に物件の写真を撮って残しておくこともトラブルの防止に役立つ有効な方法です。
部屋の全容だけでなく、ダメージ箇所の写真もわかるように撮影しておくことが重要です。
具体的な状況をメモとして書き添えておくことでよりわかりやすい記録となります。
入退去時チェックリスト同様に三者で確認を行い、セットで保管しておきましょう。
借主負担となる費用について十分な説明を行う
入退去時チェックリストや写真の記録を元に退去時の原状回復について確認したうえで、貸主と借主それぞれの責任範囲を明確にし十分な説明を行いましょう。
説明したように借主にとっては敷金の返還金額に直結するポイントでもあるため、お互いが納得いく形で説明を終えなければなりません。
判断の妥当性についても理解が得られるよう、正当な根拠に基づく費用であることを明確に説明する必要があります。
借主の立場もよく考えたうえで丁寧に説明しましょう。
まとめ
入居者が物件を退去する際に発生しやすいトラブルに、敷金精算に関する意見の食い違いが挙げられます。
借主は物件に対して退去時の返還義務と原状回復義務を負っていますが、原状回復工事にかかる費用は通常損耗分が貸主負担、特別損耗分は借主負担となるのが一般的です。
敷金は原状回復にかかる借主負担分の費用を差し引いた額を返還することになるため、損耗の責任範囲についてしばしばトラブルになることがあります。
トラブルを防ぐためには入退去時チェックリストや写真を利用して状況を明確に把握できるようにし、借主に対して十分な説明を行いましょう。
チェックリストや写真の確認必ず貸主と借主、管理会社の三者で行う必要があります。
分からないことがありましたら、お気軽にお問合せください。
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